2015/11/14 Sat
安倍内閣の「一億総活躍社会」の一つの柱とされる「介護離職ゼロ」目標。その内容や数値根拠が示された。

「第2回 一億総活躍国民会議」で塩崎厚生労働大臣が提出した「一億総活躍社会に向けた厚生労働省の考え方」

厚生労働省は、総務省平成24年就業構造調査結果である「介護離職者約10万人」について、 「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート」では、介護を機に仕事を辞めた時に「仕事を続けたかった」との回答が6割以下だったことから10万人の介護離職者のうち4割は「自分の希望などで退職」として除外。さらに同アンケートでは辞めた理由の6割が「仕事と介護の両立が困難な職場だったため」と回答し、「施設入所ができず介護の負担が増えたため」は男性16.5%、女性8.5%、「介護サービスが利用できず介護の負担が増えたため」は男性9.1%、女性5.5%だったことを理由に次のように「目標数値化」する。

10万人の介護離職者

4万人は自分の希望などで退職→対策なし
6割は「仕事を続けたかったがやむを得ず辞めた」→対策の対象

ただし、「介護サービスが利用できずやむを得ず退職は1~2割」→1.5万人分が在宅・施設サービスの整備上乗せ。→「対象となる在宅・施設サービスの平均在所期間4年を約4年×1.5万人=6万人分を前倒し整備




10万人の介護離職者をいろいろ理由をつけて、介護サービス整備対策対象を1.5万人にまで値切って、4年平均在所だから6万人が在宅・施設サービス整備目標だというのである。
もともと2020年までに34万人の在宅・施設サービス整備目標としていたものを6万人だけ「上乗せ」するというのである。

しかし、これはそもそも統計のペテン的利用というものであろう。総務省の「就業構造基本調査」では、「仕事をやめた主な理由」について15の選択肢の内、「介護・看護のため」と答えた人が過去1年以内(平成23年10月~24年9月)に10万1千人だったのである。
これを別の調査(平成24年厚生労働省委託調査)のアンケート結果で都合よく仕分けし、10万人のうち4万人は「自分の希望などで離職」と決めつけて、介護離職から除外したのである。同アンケートは、、「手助・介護を機に仕事を辞めた」男性525、女性469の離職者の回答であり、総務省の就業構造基本調査とは、規模も手法も設問もまるで異なる。厚労省のいう「介護離職者の内、介護サービスが利用できなかったためやむを得ず離職」はわずか1~2割というのは、明らかに虚構である。現実は単なるサービス整備量不足でなく、介護サービスを利用してもなお大きい家族の肉体的・精神的介護負担、さらに制度上のさまざまな制約(利用限度額)や、経済的負担など、介護者家族にのしかかる負担を制度的に除去しない限り介護離職問題は解決しない。

さらに、 整備を上乗せするというサービス種別は
・特別養護老人ホーム、・介護老人保健施設、・認知症グループホーム、・特定施設(ケアハウス)、・小規模多機能居宅介護、・看護小規模多機能居宅介護の6種類だけである。
施策は「用地確保困難な地域における施策整備支援の拡充」として、「定期借地権の一時金の支援拡充、合築や空家の活用」「都市部における特養の建物所有要件や合築の際の設備の共有等の規制緩和」といった、規制緩和ものばかりである。

まさに、「ショボい!」の一言である。これでは、介護離職ゼロどころか減らすことさえ無理だろう。

こんなショボい子どもだましのような作文で「介護離職ゼロ」などと言うのは、もはや、安倍内閣による「一億総詐欺」か「一億総ペテン」である。こんなものに引っかかてはならない。
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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