2015/12/12 Sat
「マイナンバー」(社会保障・税番号制度)の施行は、2016年1月1日。あと2週間あまりに迫り、年末を考えればほとんど対応できる日にちがない。
厚労省は、9月29日に、省令改正等で介護保険の申請・届出書にマイナンバー(個人番号)を記載が義務化されることを通知した。そして、老健局長通知では、介護保険におけるマイナンバーに取り扱いについて、 「取扱留意事項は10月中をめどに事務連絡として発出する予定」と明記していた。

ところが、10月中はおろか、11月中も出されず、ついに12月中旬になってしまった。

私が12月2日に厚労省に問い合わせたときの対応。
介護保険におけるマイナンバー取扱い留意事項の事務連絡、「いつ出すのか?」厚労省老健局介護保険計画課に電話で聞いた。
「各方面の調整などで時間がかかり遅くなって申し訳ありません」
→それでいったい何時出るのか?
「出来ており上の確認を得ているので近日中には出せます」
→2~3日中には出るのか?
「時期は言えませんが近日中には出せます。」

12月8日にも同じ回答。
「マイナンバー、悩む介護現場 個人番号管理方法は/書類コピー禁止? 国のルール作りに遅れ」(北海道新聞)という状態である。

マイナンバー法(番号法)では、番号法規定された者以外は、マイナンバーを取得・収集・保管することを禁止している。ケアマネジャーや介護事業者は、介護保険の利用者の申請代行を日常的に行っている。その申請書には、マイナンバー記載が義務付けられた。認知症や重度の要介護状態で自分のマイナンバーを書けない場合はどうるのか。
マイナンバー法では、民間企業などは従業員のマイナンバーをとりまとめ税務署などに提出することを認め「個人番号関係事務実施者」としている。
利用者(顧客)の個人番号はそのようには扱えないはずである。しかし、厚労省はこの肝心な点すら、現時点では明らかにしていないのである。
まさに、現場はさまざまな憶測が飛び大混乱である。

さらに、マイナンバーが記載された申請書を受け取る自治体側は「個人番号利用事務実施者」となるが、「番号確認」「本人確認」を介護保険でどうするのか、また、番号記載がない申請書をどう扱うのか、といった基本的なことさえ厚労省から示されていない。

住民や介護事業者からの問い合わせに「まだ厚労省から指示が来ていないので答えられません」としか言わない無為無策状態である。

まさに、無責任厚労省と無為無策自治体で介護現場は大混乱である。

そうした中で、ごく一部の自治体で見るに見かねて、独自の通知を行うところが出てきた。

東京都葛飾区では10月26日に、介護保険課長通知を出し、明快な指示を行った。
「当面、貴事業所や介護現場等での申請等で、被保険者からマイナンバー情報の収集・保管及び申請書類等へのマイナンバーの記入は必要としないことといたします。」
さらに11月19日付けの介護保険課長事連絡では
Q 被保険者が失念や通知カードの紛失等により、申請書類等へのマイナンバーの記載が困難な場合は、申請書類を受け取ってはいけないのか。
A 事業所や介護現場においては、申請書類等へのマイナンバーの記入を指導した上でも、なお、本人等が申請書類等にマイナンバーを記入することが困難な場合は、マイナンバーが未記入であっても受け取ったうえ、介護保険課に速やかに提出してください。本人確認は、介護保険課で行います。

Q 被保険者から、マイナンバーが記載された申請書類等を受け取った場合でも、情報の収集にあたるのか。
A 事業者が申請書類等などに記載されたマイナンバーの提示を受けただけでは「収集」には当たらないとされています。事業所においてマイナンバーが記載された申請書等を受け取ったときは、速やかに提出していただき、手元にマイナンバーを残さないようにしてください。


そして、12月7日には 長野市が次のような連絡を行った。
「平成28年1月1日から、介護保険施行規則に基づく各種申請事項に、個人番号の記載欄が追加されることとされ、長野市においても、介護保険施行規則に係る各種申請書に個人番号記載欄を追加します。現時点では、厚生労働省から介護保険事務に関する留意点が発出されておらず、個人番号の取扱いについて厚生労働省に照会したところ、「個人番号の記載が無いことを理由に申請書の受理を拒んではならない。」ということを確認いたしました。介護保険の各種申請につきましては、個人番号の記載をお願いすることになりますが、当分の間、個人番号の記載が無い場合でも現状と同じ事務取扱いといたします。」(長野市介護保険課発行「長野市介護保険フレッシュ情報Vol.389)



名古屋市は、12月8日の事業者説明会資料で、マイナンバーの取り扱いについて次のように記載した資料を配布した。
3 介護保険におけるマイナンバーの取り扱いについて
マイナンバーは、被保険者にかかる各種届出・申請の都度、本人が記載する事項

介護保険事業者は被保険者のマイナンバーを収集・保管してはならない!


ケアマネや介護事業所・施設は、番号法上の「個人番号関係事務実施者」(法2条13項)に当たるかどうかを、厚生労働省は明確にしていないが、葛飾区や名古屋市のこの指導は、個人番号関係事務実施者でないことを前提にしたものである。

2016年1月から介護保険の申請書類等にマイナンバーを記載しても、情報提供ネットワークシステムが稼働するのはその1年半後の2017年7月以降である。それまでは、マイナンバー記載などまったく無用である。マイナンバーが氏名住所等と一緒に記載された申請書類は、「特定個人情報」として、その収集や保管には、厳しい規制がかかり、自治体側の事務負担も膨大なものになる。

柔軟で現実的な対応をすることが求められる。そしてマイナンバー制度そのものの実施延期ことが最も円滑な解決策であろう。
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Category: 時局争論
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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