2017/01/11 Wed
軽度者切捨て先送りの到達点を踏まえ、3割負担・生活援助切り下げを阻止するために全力をあげよう

新たな局面を迎えた介護保険見直し~軽度者切捨てなど改悪を押し返した共同と世論の力
2018年度介護保険見直しが新た局面を迎えました。2016年12月9日の社会保障審議会介護保険部会「介護保険制度に関する見直し意見」(以下「見直し意見」)では、当初の政府・財務省主導案の改悪案 ①「要介護2以下の軽度者保険外し・市町村事業化」②「生活援助・福祉用具自費化」③「2割負担の対象拡大」のいずれも先送りとなりました。2018年度実施に向けた改悪の動きを一定押しとどめ、全面的な「軽度者切捨て」を許さなかったのは、私たちのたたかいをはじめ、介護関係者や自治体関係者など広範な人々の反対の取り組みと世論の力によるものです。
とくに、この中で、介護事業経営者、介護労働者、利用者・家族といった介護関係者の立場を超えた団体が「介護保険制度改悪反対」の一致点で共同した動きが生まれ、2016年11月には「守ろう!介護保険制度・市民の会」による「秋の大集会」(東京)、「介護総がかり行動準備会」による「介護の切り捨てアカン!本気の大集会」(大阪)が開催されたことは、特筆すべきことです。
生活援助切り下げ、3割負担導入など改悪の動き
しかし、社会保障審議会介護保険部会の「見直し意見」では、①現役並み所得の利用者への「3割負担導入」と一般世帯の負担上限額引き上げ ②生活援助の基準・報酬切り下げ、福祉用具貸与費に上限額設定 ③第2号保険料への「総報酬割」導入と協会健保への国庫補助削減など、新たな負担増と介護サービス切り下げ案を示し、法改定と2018年度報酬改定に向けた具体的検討に入ろうとしています。さらに要介護2以下の軽度者サービスの市町村事業化については、2017年度に移行する要支援者のホームヘルプ・デイサービスの移行状況を「検証」してから検討とされており、軽度者の「保険外し」の策動は執拗に狙われています。
一方で、深刻な人材確保困難となっている介護労働者の処遇改善問題について、政府厚生労働省は2016年12月19日の社会保障審議会介護給付費分科会「審議報告」では、わずか1万円相当を昇給制度などを要件に介護報酬の「処遇改善加算」に2017年度から上乗せするという方向を示しました。公費による賃金改善を否定し、報酬の枠内で、しかもサービス業など「競合産業との賃金格差是正」にとどまるというおよそ改善の名に値しないような中身です。
さらに、安倍内閣はアベノミクスの一環として、日本経済再生本部の下に「新たな成長戦略の司令塔」として設置した「未来投資会議」において、医療・介護を新たな成長分野の一つと位置付け、「『できないことをお世話する介護』から、望む限り回復させる『自立支援』型介護にするパラダイムシフトを起こす」(2016年11月10日安倍総理発言)との方向性を示しました。塩崎厚生労働大臣は、ビッグデータを活用する医療介護のICTインフラを2020年度からの本格稼働、介護データベースの抜本的見直し、AIやIOT等の技術革新を報酬体系に組み込む方針を表明しています。
介護保険制度の「見直し意見」でも、保険者(市町村)に対し「データに基づく地域分析」「要介護状態の改善度合い等の指標に従い実績を評価」とそれに基づく「財政的インセンティブの付与」を推進するとしています。これらは自治体を「自立支援」(=要介護認定率の低減)へと財政誘導する新たな仕組みの構築をめざすものです。介護現場にも「ロボット・ICTに係る介護報酬や人員・設備基準の見直し」などを生産性向上の名のもとに進めようとしています。
これらは、今後の介護保険制度改悪が、軽度者切捨て・負担増に加え、成長戦略の一環として「自立支援型介護」の名のもとに、「介護」そのものを変質させかねない危険な内容を持っています。
2017年が正念場 ~対政府・国会と自治体での運動
「3割負担」導入など介護保険法改定を必要とするものは、1月20日から始まる通常国会での法案提出が大きな争点となります。ほかの改悪内容は、多くが2018年度報酬改定、第7期(2018~2020年度)介護保険事業計画開始に向けた検討となります。
また、要介護2以下をターゲットとする「軽度者保険外し」も、2017年度に移行完了する要支援1.2の訪問介護等の総合事業化の「検証」が決定的な影響を与えることから、全国の市町村での総合事業の在り方が今後を左右することになります。
当面の運動課題
当面して、①対政府・国会に向けた「3割負担」導入など負担増反対を中心とした運動の構築が急務であり、医療の負担増問題と合わせ、国民的なたたかいを呼びかける必要があります。さらに、②厚労省の社保審介護給付費分科会での介護報酬・運営基準改定に向けた検討が開始されることから、生活援助や福祉用具問題を中心とした介護関係者の取り組みも早急に具体化する必要があります。また、③自治体では、今年度の総合事業移行完了問題と、第7期介護保険事業計画に向けた保険者機能問題などが今年1年間の課題・争点となります。
立場を超えた「総がかり」の共同行動を全国各地で
これまでにない負担増と介護切り捨ては、介護保険制度の根本的変質をもたらし、国家的な「介護保険料詐欺」とまで言われる事態を引き起こしています。今や、立場が違っても他の問題での意見が異る団体でも「介護保険改悪反対」では一致した行動が可能です。これはこの間の東京や大阪での共同行動での教訓です。
全国各地で、介護にかかわるすべての人びと、そして高齢者や障害者、家族、地域住民を視野に入れた、介護と老後の安心を守る「総がかり」の共同行動を作り出そうではありませんか。

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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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