2017/07/07 Fri
7月5日、第142回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され2018年度介護報酬改定に向けた議論が行われたが、「居宅介護支援」については、資料は配布されたものの、他の課題の議論が長引き、時間切れで資料説明さえ持ち越しになった。第142回社会保障審議会介護給付費分科会資料記載されている「論点」から透けて見えるものは何だろうか。
第一は、居宅介護支援事業所の管理者のあり方である。現在は、居宅介護支援事業所の管理者の要件配布「介護支援専門員」であるが、厚生労働省資料からはこれを「主任介護支援専門員」にしようと考えているような表現となっている。管理者の主任ケアマネの割合は44.9%と過半数以下であるため、いきなり指定基準改正は無理にしても報酬の加算減算などで差をつけることなどをたくらんでいるのではないか。介護保険制度始まって以来、全国平均で一貫して「赤字」を続けているのが居宅介護支援事業所である。この欠陥報酬を見直しもせず、ケアマネに対する締め付けばかりしてきたのが厚生労働省である。このような新たなハードル設定など無理難題を持ち出すよりも報酬改善が先であろう。
第二は、特定事業所集中減算見直し問題である。2015年度報酬改定で、大幅に強化されたこの減算は、現場で大きな混乱を引き起こし大問題となっていた。昨年3月に会計検査院が「有効な施策でない」と指摘し、参議院の委員会では見直しを求める決議がされた。まさに「愚策」「失策」であり、即刻見直されてしかるべきものであるが、次期報酬改定まで放置されてきた。サービス付き高齢者住宅併設のサービス事業所の「囲い込み対策」の問題と混同されているが、サービス付き高齢者住宅問題はケアマネ締め付けだけで解決できる問題ではない。
他にも問題は多いが、ケアマネに対する無理難題や締め付けを繰り返す議論でなく、「中立公正」=すなわち経済的独立が出来るだけの抜本的な居宅介護支援費の改善をベースとした検討が行なわれるべきである。
第142回社会保障審議会介護給付費分科会資料
= 論点1 =
居宅介護支援事業所における人材育成の取り組みを促進する観点から、事業所の管理者のあり方についてどのように考えるか。
現状・課題
ケアマネジャーの資質の向上を図るためには、個々の居宅介護支援事業所における人材育成の取り組みが重要となるが、事業所の管理者の中には、人材育成やケアマネの業務の実施状況の把握に課題を抱えている実態がみられる。
管理者が主任ケアマネである割合は44.9%だが、管理者が主任ケアマネでない場合と比較すると、事業所のケアマネに対する同行訪問による支援(OJT)の実施や、ケアマネジメントに関する相談の時間を設けている割合などが高くなっている。
= 論点2 =
公正中立なケアマネジメントを確保する観点から、特定事業所集中減算のあり方や利用者・家族に対する説明・同意プロセスなどについてどう考えるか。
現状・課題
特定事業所集中減算については、昨年3月に会計検査院から、必ずしも合理的で有効な施策であるとは考えられないことなどの指摘を受けており、同年5月の参議院決算委員会において、「ケアマネジメントの公正・中立の確保に向け、現行施策の抜本的見直しも含め、その在り方を十分に検討すべき」との決議がなされている。加えて、介護保険部会においても、その実効性が乏しく見直しをすべきとの意見があった。
近年増加傾向にある有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの高齢者向け住まいについて、特に適切なケアマネジメントを求める意見や、訪問介護の生活援助の適正利用の観点から、生活援助の提供がどのように重度化の防止や自立支援につながるかをケアプランに明記することを義務づけるべきとの指摘がある。
居宅介護支援事業所には集合住宅の訪問に係る減算の仕組みはないが、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの集合住宅と併設している事業所は、併設事業所がない場合と比較して、利用者宅までの平均移動時間が短い傾向にある。
= 論点3 =
退院後に円滑に必要な居宅サービスを受けられるようにするために、入院時を含めた医療機関と居宅介護支援事業所との更なる連携に向けた取り組みについてどう考えるか。
現状・課題
今後、重度者や医療の必要性が高い利用者が増えていくと考えられることから、医療ニーズを踏まえた適切なアセスメントや、ケアマネジメントを行う際の医療との連携が重要。例えば、医療機関へ入院した人が退院後に円滑に在宅生活へ移行するためには、入退院時にケアマネジャーが関与し、医療機関との連携を図ることが重要であるが、その取り組みが必ずしも十分でないとの指摘もある。
介護報酬においては、利用者が病院などに入院するにあたって、ケアマネが病院などの職員に対して、利用者の心身の状況や生活環境、サービスの利用状況などの情報を提供することを評価する「入院時情報連携加算」があり、利用者が入院してから遅くとも7日以内に情報提供した場合に算定が可能となっている。実際には、入院後2日以内に入院先の医療機関に情報提供を行った割合は5割を超えている。
入院時の情報提供において問題と感じる点については、医療機関から情報提供を求められないことや、医療機関の医師とコミュニケーションがうまくとれないこと、医療機関に情報提供する機会・タイミングを確保するのが難しいことなどが多い。
介護報酬においては、病院などを退院し自宅でサービスを利用するにあたって、病院などの職員と面談を行い利用者に関する必要な情報を得た上でケアプランを作成し、サービスの利用に関する調整をすることを評価する「退院・退所加算」があり、入院期間中3回まで算定することができる。
利用者が病院などから退院する際、ケアマネ側から医療機関に対してカンファレンスの開催を求めるなどの取り組みも行われているが、医療機関の都合に合わせた訪問調整など、退院時に医療機関から利用者情報を得ることに困難を感じている事業所が多い。
= 論点4 =
末期がんの患者に係るケアマネジメントについてどう考えるか。
現状・課題
末期がんの患者へのサービス提供に際して、患者の状態に応じた真に必要なサービスが迅速に提供されていない場合があるとの指摘がある。
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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