2017/08/22 Tue
自治体による「自立」「卒業」の強制
  改定介護保険の先取り、大阪府大東市の実態と問題点  その1


はじめに
 7月19日、NHKの「クローズアップ現代」は、介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」)が「もっともうまくいっている自治体」として大阪府大東市を紹介した。 
 介護保険の大改革 住民力で費用を抑制!?
「大東元気でまっせ体操」と住民ボランティアによる「生活サポート事業」によって元気な高齢者が増え、地域の支え合いが進み、介護費用の削減できている、といった紹介がされた。しかし、番組後半で取り上げられたように、デイサービスからの「卒業」(強制的な打ち切り)で行き場所を失い、孤立する人や、週1回の通所リハビリテーションの利用すら認められず、閉じこもり生活になって病状が悪化し、わずか1年で要支援1から要介護5まで重度化した「被害者」も出てきている。
 この大東市の「自立支援」の取り組みは、2017年4月から全国の自治体で実施された要支援者のサービスの一部を市町村事業に移行する総合事業の「模範例」とされ、さらに今年5月26日に成立した「地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(以下「改定介護保険法」)で打ち出された「介護予防・重度化防止のための保険者機能強化」の「先進例」とされている。今後、総合事業が本格化し、来年度から改定介護保険法が施行され、全国の自治体が「保険者機能強化」として「自立支援」型の介護保険運営をめざしていくことになれば、大東市で起きている事態が全国の自治体で起きかねない。
 
「元気でまっせ体操」を卒業の受け皿に 
 大東市は人口約12.2万人、高齢化率は約26%(約3.2万人)で大阪市のベッドタウンの一つで市域は奈良県と隣接している。
 大東市の高齢者施策の最大の「セールスポイント」は、市の理学療法士が考案した「大東元気でまっせ体操」である。「効きまっせ、若ぅなりまっせ、寝たきりにならんで儲かりまっせ」の合言葉で、市内で約100ヶ所、千数百人が参加しているという。大東市は早くから二次予防事業(要介護状態になるおそれのある高齢者を対象に自治体が行う介護予防事業。一般高齢者対象は一次予防事業)をやらず、この「大東元気でまっせ体操」による地域づくり・住民主体の取り組みを行ってきた。国が2014年法改定で二次予防事業を「非効率」として廃止し一般介護予防事業に再編し、地域リハビリテーション推進事業を制度化すると、大東市は自らの「先見性」に確信をもつことになった。総合事業移行にあたって多くの自治体が、現行相当サービスに基準緩和型サービスを加えて緩やかな移行に踏み出そうとしている時に、大東市は、徹底した「自立」、「サービスからの卒業」路線を打ち出すに至った。
大東市は「元気でまっせ体操」の場を「要支援者はデイサービスに行かなくても通いの場に行けば大丈夫」「介護保険を卒業する人の受け皿」と位置付けている。
(つづく)
スポンサーサイト
Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索