2018/04/28 Sat
「65歳になった障害者に障害福祉サービスを認めないのは違法・憲法違反だ」と広島県熊野町の中田輝義さん(本名:仲田輝美さん。70歳)が、今年2月に広島地裁に却下処分の取り消しを求める訴訟を起こし、4月23日に第1回目の裁判が行われたました。
中田さんは、重症筋無力症の1級の身体障害者で車椅子生活。障害者総合支援法に基づく無料の障害者福祉サービスを受けていたのに、六十五歳になったとたん「介護保険」に切り替えられ、月7000円~8000円以上の負担になり、介護保険料も年間約3万円負担させられることになりました。
2015年に障害福祉サービスの申請をしましたが、却下され、広島県に不服審査請求を行いましたが「棄却」されたため、裁判闘争に踏み切ったものです。
中田さんは、2016年から「介護保険料賦課決定処分」取り消しを求める裁判も闘っており、真正面から介護保険制度の不当性・違憲性を問う闘いとして大きな意味を持つ裁判です。
今年3月14日に岡山地裁で、65歳になった障害者に障害福祉サービス利用を認めなかった岡山市の処分を違法とする判決(原告:浅田逹雄さん)がだされています。
介護保険制度の不当性・違憲性を問う中田さんの裁判に多くの皆さんの支援を呼びかけます。

訴状
介護給付費の支給及び利用者負担限度額・免除等についての却下処分取消請求事件                                                          
請 求 の 趣 旨
1 処分行政庁が原告に対し平成27年8月10日付で行なった介護給付費の支給及び利用者負担限度額・免除等についての却下処分を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
請 求 の 原 因
第1 当事者
1 原告
1)原告は、広島県安芸郡熊野町内に居住する昭和22年7月16日生まれの男性であるが、およそ20数年前に重症筋無力症を患い、上肢、下肢の機能に障害があり、併せて呼吸器機能障害などにより身体障害者手帳1級1種が交付されている重度障害者である。
また、この他にも、全身性の変形性関節炎と神経障害疼痛とヘバーテン結節などの病気も抱えており、日中は車いす生活であり、月に一度は県立広島病院神経内科に通院している。
2)そして、居宅介護に関して、平成27年8月10日付けで介護給付費の支給及び利用者負担限度額・免除等についての却下処分(以下「本件処分」という)を受けた者である(甲1)。
2 被告は、普通地方公共団体であり、その首長である熊野町長は、障害者自立支援法19条1項及び2項に基づき、熊野町内に居住する者に対し、介護給付費等の支給又は不支給を決定する権限を有する者であり、原告に対し本件処分を行なった者である。
第2 本件の概要
1 処分行政庁である熊野町長は、原告に対し、原告が65歳に達するまでは、障害者総合支援法に基づき、居宅介護や通院介助の障害福祉サービス(自立支援給付費)を全額支給していたにもかかわらず、65歳に達してからは介護保険法に基づく介護認定決定を行い、介護給付ととともに1割の自己負担を行うべきとした。
2 原告は、65歳になって、介護保険法による要介護2の認定を受け、しばらくは介護給付ととともに1割の自己負担をしていたが、後述のように、無年金で市町村税非課税世帯であることからそれらの負担が重く、また従前の障害福祉サービスと介護保険給付の違いを実感するようになった。
3 そこで、原告は、改めて介護保険給付ではなく、障害者総合支援法に基づ く障害福祉サービスの支給を求めるとともに、介護給付費の支給及び利用者負担限度額・免除等を申請したところ、処分行政庁が介護給付費を支給しない旨の決定を行ったため、その取消しを求めるものである。
第3 本件処分にいたる経緯
1 原告は、上述の障害のために稼働収入がなく、また、障害年金も支給されていなかったので無収入であり、亡き父親の残した遺産で生活を維持していた(甲2)。
2 原告は、64歳までは障害者総合支援法による障害支援区分3の認定に基づき、障害福祉サービスの居宅介護(ホームヘルプ)を受けて生活を維持してきたが、前同法では市町村民税非課税世帯には自己負担はなかった。
3 ところが、65歳になった平成24年7月16日の後、原告が居住する熊野町は、一方的に障害福祉サービスから介護保険サービスに切り替え、原告に対する事前の十分な説明もないまま要介護認定手続きを行い、要介護2と認定した。
そして、熊野町は原告に対し、熊野町介護保険条例第4条の規定に基づく介護保険料の賦課決定をしたので、原告はやむなく納付した。
4 原告は、介護保険に切り替わった後、障害福祉サービスでは自己負担のなかった居宅介護(ホームヘルプ)については月に7000円~8000円の自己負担が必要となり、通院介護は給付対象外とされ、自己負担を求められるようになった。
5 そこで、原告は、介護保険や障害福祉サービスの実情に詳しい知人らの支援を得て、平成27年7月29日、熊野町役場を訪れ、介護保険料や介護保険の利用料1割負担が重くて経済的に困難なうえ、高齢者というのではなく障害者であるために必要な障害福祉サービスを受けたいと申し入れ、介護給付費の支給及び利用者負担限度額・免除等についての申請を行った。
6 これに対し、上記の通り、本件処分が出された。
第4 本件処分に対する審査請求
1 原告は、本件処分について、平成27年10月7日付け書面により、広島県知事に対し審査請求をした。
2 広島県知事は、平成29年8月21日付け裁決書により、原告の審査請求を棄却した(甲3)。
3 原告は、前記裁決書を平成29年8月24日に受領した。
第5 本件処分は、憲法14条1項及び憲法25条1項に反する
1 憲法判断の枠組み
(1) 憲法14条1項は、全ての国民が法の下に平等である旨を宣言し、同法25条1項は、全ての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する旨を定め、同条2項は、国が全ての生活部面について社会福祉の向上及び増進に努めなければならない旨を定める。
(2)障害者基本法、及び障害総合支援法等を中心とする障害者福祉制度は、憲法14条1項の平等原則と憲法13条の個人の尊重の理念に基づき、いわゆるノーマライゼイション、すなわち、障害者にとっての社会的障壁を可能な限り撤廃し、障害者と障害のない人とが共生する社会の実現を目的として、憲法25条2項に定める国の社会福祉施策充実義務における現在の到達点を示したものである。
またそれと同時に、憲法25条1項に定める生存権を具体化し、これら法令に基づいて給付を受ける権利を個々の国民の具体的権利として保障したものである。
(3)よって、障害者福祉制度は、憲法14条1項の平等原則に照らし、全ての障害者に対し、平等に開かれ保障されるものでなければならない。
2 障害者総合支援法など関係法令の構造
(1)障害者総合支援法7条は、障害者の受ける自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法の規定による介護給付であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受けることができるときは、その受けることができる相当な給付の限度において、行わない旨を定めている。
(2)また、障害者総合支援法29条3項2号により、当該障害者が地方税法上の非課税世帯であるなど一定の要件を満たす場合には、同法に基づく介護給付費の支給にあたっては、当該障害者本人には自己負担が生じないこととなっている。
(3)ところが、障害者が65歳に達すると、介護保険法9条1号の第1号被保険者に該当することから、介護保険法に基づく介護給付にあたっては、原則として1割の利用料の自己負担を生じることになる。
(4)したがって、障害者総合支援法7条の規定の通りにすると、65歳以上の障害者については一律に介護保険給付が優先されることになるため、同じ障害者であっても、65歳以上であるか否かによって、介護給付にかかる利用料の自己負担の有無につき異なる取扱いを受ける。
それだけでなく、障害者が65歳になったからといって、障害者ではなくなって「介護が必要な高齢者」になる訳ではないから、従前から受けていた障害福祉サービスと介護保険給付との間に差異が生まれて、十分な福祉サービスが受けられなくなる。
3 本件処分が違憲であること
(1)障害者総合支援法7条は、65歳以上の障害者に対して『一律に介護保険給付を優先する趣旨』であるとの解釈を前提とする限り(後述のとおりその趣旨ではないと解すべきであるが)、障害者が高齢者であるか否かによって異なる取扱いを設けている点で、憲法14条1項が規定する平等原則に違反し、さらには憲法25条に基づく障害者福祉制度によって具体化された国民の生存権を侵害したものとして、違憲である。
(2)なぜなら、障害者福祉制度及び高齢者福祉制度は、異なる目的のもとに異なる支給要件及び支給内容を定めた別個の制度であり、個別具体的な事情に応じて、国民が選択的に利用することが認められなければならないからである。
そして、65歳に達したからといって、常に高齢者福祉制度が優先するとの定めは、障害者が65歳以上か否かという単純な年齢によって利用者負担等の取り扱いを異にするという不合理な差別を行うものと言わざるを得ない。
(3)また、仮に障害者総合支援法7条が合憲であるとしても、処分行政庁  が一律に介護保険給付を優先して適用した場合は、その適用自体が前述と同様に違憲であるし、そのような運用が行われている場合はその運用自体を違憲と言わなければならない。
(4)以上のとおり、障害者である原告に対して、65歳に達していることを理由に一律に介護保険給付を優先することは、憲法14条1項及び25条1項に違反する。
第6 本件処分は「障害者の権利に関する条約」(権利条約)並びに「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)に反する
1 「障害者の権利に関する条約」(権利条約)について
(1)権利条約は、2006(平成18)年12月13日、第61回の国連総会で採択され、我が国は、2014(平成26)年1月20日に批准し、同年2月19日から効力を生ずることになった。
(2)権利条約のうち、本件処分に関わる内容は、以下のとおりである。
前文のうち、
(c)(前略)障害者が全ての人権及び基本的自由を差別なしに完全に享有することを保障することが必要であること
(h)いかなる者に対する障害に基づく差別も、人間の固有の尊厳及び価値を侵害するものであること
(j)全ての障害者(より多くの支援を必要とする障害者を含む。)の人権を促進し、及び保護することが必要であること
(n)障害者にとって、個人の自律及び自立(自ら選択する自由を含む。)が重要であること
(v)障害者が全ての人権及び基本的自由を完全に享有することを可能にするに当たっては、物理的、社会的、経済的及び社会的な環境並びに健康及び教育を享受しやすいようにし、並びに情報及び通信を利用しやすいようにすることが重要であること
が該当する。
第1条の『目的』では、「この条約は、全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする」と規定する。
第2条の『障害に基づく差別』とは、「障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、他の者との基礎としてすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする目的又は効果を有するものをいう」とされ、さらにこれに加えて「障害に基づく差別には、合理的配慮を行わないことを含むあらゆる形態の差別を含む」と規定されている。
そして、第4条では、締結国の『一般的義務』として、
(a)この条約において認められる権利の実現のため、全ての適当な立法措置、行政措置その他の措置をとること
(b)障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための全ての適当な措置(立法を含む。)をとること
(c)全ての政策及び計画において障害者の人権の保護及び促進を考慮に入れること
(d)この条約と両立しないいかなる行為又は慣行も差し控えること、また、公の当局及び機関がこの条約に従って行動することを確保すること
を定めている。
第5条の『平等及び無差別』では、
1 締約国は、全ての者が、法律の前に又は法律に基づいて平等であり、並びにいかなる差別もなしに法律による平等の保護及び利益を受ける権利を有することを確認する。
2 契約国は、障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとし、いかなる理由による差別に対しても平等かつ効果的な法的保護を障害者に保障する
3 契約国は、平等を促進し、及び差別を撤廃することを目的として、合理的配慮が提供されることを確保するための全ての適当な措置をとる
ことが定められている。
2 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)の立法について
我が国の政府は、「障害者の権利に関する条約」の締結に必要な国内法の整備に向けて、2009(平成21)年12月に内閣に「障がい者制度改革推進本部」を設置し、「障がい者制度改革推進会議」を開催して、2010(平成22)年6月に、「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」を閣議決定した。
そして、2010(平成22)年11月から、先の「推進会議」の下で「差別禁止部会」が開催され、その後、障害者政策委員会を発足させて、「推進会議」の議論を引き継いで意見をとりまとめた。政府は、その意見を踏まえて、障害者差別解消法案を作成し、同法案は2013(平成25)年4月26日に閣議決定され、第183回通常国会に提出、可決された。
2014(平成26)年6月26日に公布され、2016(平成28)年4月1日から施行されている。
3 障害者差別解消法について
その目的は、第1条に、「全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする」と定められている。
そして、第2条には『国及び地方公共団体の責務』が定められ、「この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなくてはならない」と規定されている。
さらに、第7条の『行政機関等における障害を理由とする差別の禁止』においては、
*1項は、「行政機関等(第2条3項の定義により、地方公共団体を含む)は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない」
*2項は、「その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障害の除去を必要としている旨の意思表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮をしなければならない」
と明記している。
4 本件処分―被告による合理的配慮義務違反について
(1)原告は、平成27年7月29日、被告に対して、それまで障害者として障害福祉サービスを低所得者には負担なし(無料)とするという措置を受けていたにもかかわらず、65歳を過ぎているからと介護保険の適用を優先され、利用料の1割負担を強いられることになっていたので、「社会的障害の除去」を求める意思の表明をした。
すなわち、従前の通り、障害福祉サービスを負担なし(無料)で受けさせてほしいという意思の表明である。
(2)被告が、この原告の「社会的障害の除去」を実施しようとすれば、居宅介護サービスに相当する利用料の自己負担分(月に6千円台から7千円台)を原告に負担させないことになる。
この措置の実施に伴う「負担が過重」か否かが問題になるが、熊野町の介護保険財政について客観的に見れば、原告について年額3万0759円の介護保険料と月額6~7千円の利用料を熊野町が負担することは決して「過重な負担」とは言えないものである。
(3)そして、この7条2項に定める合理的配慮義務は、行政機関等である被告にとっては、事業者の場合とは異なり、努力義務ではなく法的な義務である。
原告による「社会的障害の除去」を求める意思は、障害者差別解消法の公布の後であるから、同法の施行前であったとしても、被告による本件処分は明らかな合理的配慮義務違反に該当する。
5 結論
以上の通り、本件処分は、権利条約に違反し、障害者差別解消法に違反する違法、無効なものである。
第7 障害者総合支援法22条違反
1 裁量権の逸脱濫用の判断枠組み
(1) 一般に、行政庁に一定の行政裁量が認められる場合でも、裁量権の逸脱濫用があった場合には違法となる。
そして、裁量権の逸脱濫用の判断枠組みとして、最高裁は「考慮すべきでない事項を考慮し、他方、当然考慮すべき事項を十分考慮しておらず、その結果、社会通念に照らし著しく妥当性を欠」く場合は裁量権の逸脱濫用に当たると判示している(最判平成18年2月7日民集60巻2号401頁、最判平成19年12月7日民集61巻9号3290頁等)。
(2)障害者総合支援法及び同法施行規則は、
ア 同法22条1項において、介護給付費等の支給要否決定を行うに際して、当該障害者の障害程度区分、当該障害者の介護を行う者の状況、当該障害者の置かれている環境、当該障害者の障害福祉サービスの利用に関する意向、その他厚生労働省令で定める事項を勘案して介護給費等の支給の要否の決定をすることとし、
イ 同法22条2項において、市町村は、支給要否決定を行うにあたって必要があると認めるときは、法15条に基づき設置された市町村審査会等の意見を聴くことができる旨を定めて
いる。
(3)前述の通り、65歳に達した障害者に対して、一律に介護保険給付を優先することはそれ自体違憲であるが、障害者総合支援法7条は、むしろ、自立支援給付と介護保険給付との支給要件及び支給内容を総合的に比較し、自立支援給付と同等以上の介護保険給付が保障されている場合に限り、介護保険給付を優先する旨を定めたものと解される。
この点、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長及び同障害福祉課長の平成19年3月28日付け通知である「障害者自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について」(障企発第0328002号ないし障障発第0328002号)は、
「障害者が同様のサービスを希望する場合でも、その心身の状況やサービス利用を必要とする理由は多様であり、介護保険サービスを一律に優先させ、これにより必要な支援を受けることができるか否かを一概に判断することは困難であることから、障害福祉サービスの種類や利用者の状況に応じて当該サービスに相当する介護保険サービスを特定し、一律に当該介護保険サービスを優先的に利用するものとはしないこととする」
としている。
従って、障害者が65歳に達して介護保険法上の被保険者である場合においては、これらの事項も勘案した上で自立支援給付の要否を判断すべきものである。
(4)さらに、障害者基本法においても
ア 第1条において、全ての国民が、法の下の平等及び個人の尊重の理念に基づき、障害のない人と分け隔てなく共生する社会を実現するため、地方公共団体の責務を明らかにするとともに、各種の施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする旨を宣言し、
イ 第14条第3項において、地方公共団体は、障害者が、その年齢、障害の状態及び生活の実態に応じ、介護その他自立のための適切な支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない旨を定め、同法24条は、地方公共団体は、障害者の経済的負担の軽減を図るため必要な施策を講じなければならない旨を
定めている。
従って、障害者総合支援法22条1項に定める考慮事項も、これら障害者基本法の規定と整合的に解釈されなければならない。
2 本件処分には裁量権の逸脱濫用がある
(1) 本件処分は、原告が65歳に達していることを必要以上に考慮し、他方、介護保険給付において原告の自己負担が生じることを十分に考慮せずに行ったものである。
(2)そもそも、障害者を年齢で区別し、障害がある高齢者に対してより大きな経済的負担を課すことには合理性はないから、原告が65歳に達していることは、適切な給付を選択するにあたり積極的に考慮すべきではない事項である。
むしろ、原告の障害の程度、介護給付の必要性、介護給付の利用状況、経済状態、その他原告の心身の状態及び原告を取り巻く環境に変化がないこと、原告が自立支援給付を希望していることなどを十分に考慮すべきであったにもかかわらず、本件処分はこれを怠ったものである。
(3)さらには、本件処分は、前述の市町村審議会の意見を聴取する手続を経ていない疑念があり、この手続を経て慎重な判断を行ったとは考えられないものである。
(4)従って、原告の求めに対して、自立支援給付を拒否した本件処分は、障害者総合支援法22条1項を中心とする関係法令等に照らし、考慮すべきでない事項を考慮し、他方、当然考慮すべき事項を十分考慮せず、その結果、社会通念に照らし著しく妥当性を欠く処分を行ったものであって、裁量権の逸脱濫用があると同時に同法22条1項に反するものとして違法である。
第8 結論
以上の通り、本件処分は、憲法14条1項及び憲法25条に違反するほか、「障害者の権利に関する条約」(権利条約)並びに障害者差別解消法に反するとともに、障害者総合支援法22条1項に違反するだけでなく、その裁量権の逸脱濫用により違法である。
よって、本件処分の取消を求めるため本訴提起に及んだ。
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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