2008/01/08 Tue
介護サービスの締め付けで、法令遵守(コンプライアンス)を強調することが多いが、最近は明らかに自治体(保険者側)が給付抑制に走るあまり法令やその趣旨を逸脱した「指導」が続発している。
同居家族(孫であろうが、90歳の高齢者であろうが一切関係なしに)がいるからという理由でホームヘルパーの生活援助(家事援助)は一切ダメ、というのがその典型例。
さすがに厚生労働省も昨年12月20日に事務連絡を出して、法令の趣旨を説いた。
これなどは自治体職員が「法令違反」をしていることになる。
私も、そうした
自治体職員との「交渉のやり方」などについていろいろ昨年から述べてきた。訪問介護も本来ここまでできる、という
活用事例も示した。厚生労働省近畿厚生局介護サービス指導官も賛同していただいた。
今年になって、自治体職員の方が運営されているサイトで、見事な記事を拝見した。
「
法令を逸脱する自治体職員たち」という記事である。
同記事は、自治体職員が介護保険サービスの指導において法令違反を犯す背景を
職員が、法令を知らない(解釈の誤りを含む) 、 制度の主旨を理解していない ことや前例踏襲主義がはびこっていること、さらに法令よりも制度を理解しない上司の判断を優先させたり、「 財政事情」や、「 厳しく制限しないと事業者や利用者は勝手なことをする」という職員の思い込みにより、法令より厳しく制限することが正義、というような一種の確信犯もあると分析されている。
さらに「対応」についてもいくつか提言しておられる。
とくにこの記事で気に入ったのは、いろいろ外部から働きかけても誤りを正そうとしない自治体を「アホ自治体」と厳しく批判し、
「どうしようもないアホ自治体には
これまでに述べてきたような対応では見解を改めず、明らかに法令を逸脱したままの自治体にはどうすればいいだろうか。
(1)法的争い
法的な争い覚悟でサービスを提供する(利用者側からすればサービスを受ける)ことは可能であるし、国保連経由で支払いを受けることも可能である。
市町村は返還命令を出すことはできるが、その判断が明確に違法な場合、不服審査の一連の手続きか、少なくとも行政訴訟ではひっくり返るだろう。
また、事業者指定機関(居宅サービスなどでは都道府県、地域密着型などでは市町村)は、返還するよう勧告や命令を事業者に出すことができ、それに従わないなど状況によっては指定取消を行うことも手段としてはある。が、そういう不利益処分を行うためには聴聞などの手続きを踏む必要があるので、それらの段階で現場サイドから堂々の論陣を張ることも可能である。
ともかく、行政訴訟に移れば、法令上、正しい方が勝つ。アホ自治体が敗訴すれば、他の自治体に対する効果も大きいだろうが、利用者のことを考慮すると、必ずしも現場サイドからは踏み切りにくい面もある。しかしながら、こういう手段があることは、現場サイドも、もちろん自治体職員の側も頭に入れておく必要がある。
(2)賛同者・理解者を増やす
アホ自治体の場合、その対応がおかしいと考えている人々は、けっこう多いはずだ。同業の専門職、他の自治体(市町村に対する都道府県、都道府県に対する市町村)などと連携を図り、粘り強く交渉を続けていく方法が考えられる。」
ときわめて的確に提言されている。
「
法令に従うべき行政職員が、法令を逸脱して職務を行うというのは、本来はあり得ない姿」「
自分自身が法令を守らないで、事業者に法令遵守を説いても、全く説得力がない」
と指摘され、
専門職員や自治体の現場職員に対し、
「
法令の文言も主旨も理解するように努め、現場サイドと協力して地域ケアを進めている自治体職員は少なくないと思う。そういう自治体が少しでも広がっていくことを目指して、地域の専門職の方々も「間違っているものは間違っている」と主張していただきたい。
そして、「アホ自治体」の中にも、現場サイドからの声にも真摯に耳を傾け、改革への一歩を踏み出す自治体職員が出現することを、自治体職員の端くれに連なるものとして願ってやまない。」と呼びかけられている。
いやー実に見事な提言である。
このような良識的で勇気ある自治体職員の方がもっともっと増えれば介護保険は少しはましになると思う。
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