2010/08/15 Sun
 毎年、正月に帰省すると必ず、子どもたちにお年玉をもってやってくる叔母さんがいる。90歳になる。9人兄弟姉妹の長女。私の父(80歳)の姉である。

 女学校を出て、戦後は中学校の教師を長年されていた。

 6年前に夫を亡くし、昨年、入院し、その後老人保健施設を経て、現在グループホームに入居している。

 要介護1。

 一昨年まで、お盆にも必ず、先祖の墓参りにやってこられていた。

 一人ぼっちのお盆は寂しかろう、と午前中に、父と一緒にグループホームに叔母を訪ねた。手土産は、実家の畑でとれたジャガイモ、ピーマンなどを箱に一杯。グループホームへのささやかな寄付である。

 玄関は施錠されており、「御用の方はインターホンを押してください」の張り紙が。
(このグループホームは外部評価では、問題点・課題は「玄関への常時施錠」と「地域との交流の機会が少ない」とあった) 

 中に入れてもらい、談話室にいた叔母に対面。

 私の顔を一目見るなり、「遠いところからよう来てくれた。」談話室から自室へ、廊下を前かがみながら、杖をついて歩いていかれる。

 ベッドと小さなたんすだけの居室。

 父と兄弟たちの消息や、孫たちの近況を談笑される。

「9人居た兄弟姉妹も、6人になってしまったな…」とポツリ。9人のうち男は父一人で、他はみんな女だったから戦死した人はいない。

 教師をしていただけあって、教え子のことは本当に生き生きと手振りを交え、目を輝かせて、おもしろおかしく語れらる。

 趣味は読書。

 ギャッジアップしたベッドに腰掛けて、小説や岩波新書を老眼鏡をかけずに読みふけるという。読むものがなくなれば図書館で借りてくるという。
 
居室には、小さくても椅子とデスクを置いてあげたらいいのにな、と思う。

 耳は遠いが、実にしっかりされている。

 あとで、職員さんに聞くと、「しっかりしているように見えるが、忘れていることが多い」といわれたが、会話では、だれだれが何月に来ただの、寺の住職の娘に婿が来て副住職になっただの、最近のことも実によく知っている。

 私の子どもたちのこともしっかり、覚えている。

 それでも、お盆の墓参りに誘うと、「…。行きとうない」。

 玄関に鍵のかかったグループホームで過ごす、一人ぼっちのお盆。 
 入居者や職員に囲まれているが、90歳の叔母には、今年のお盆はどのよう感じておられるのだろうか。
 
 
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Category: 雑感・雑記
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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