2010/09/09 Thu
 介護保険見直し議論 社会保障審議会介護保険部会での議論が、本質的な部分に入ってきた。

 「給付と負担の在り方について」を議題に、9月6日に開催された第31回社会保障審議会介護保険部会では、さまざまな議論が交わされた。
 事務局である厚労省の示した「論点」では、
・負担の在り方 ・給付と負担のバランス
 「第5期は保険料や公費の増が必要となり、…」「介護保険制度を持続可能なものとしていくことがまず重要」と財政論をぶち上げ、保険料の在り方、公費負担割合、利用者負担の在り方などをテーマに。そして、「給付と負担のバランス」として軽度者支援、補足給付などについて「どう考えるか」と切り捨ての方向に論議をもっていこうとする意図が見え見え のものであった。

 当日示された資料では、「第5期介護保険料」について、全国平均額(現行月4160円)第5期には5千円を上回るとの見通しを示した。介護職員の処遇改善を図るための交付金などの特例措置が積み重なったことから、給付費が当初試算より約2千億円上回る可能性が大きくなったことが要因などと説明していた。

 これに対し、財界側から「保険料引き上げには反対」、「もっと必要不可欠なサービスに絞ってはどうか」(日本経済団体連合会・久保田専務理事)などの意見がだされた、

 しかし、今回の議論では、「公費負担増」を求める意見が各委員から出されたことが特徴である。


 「“強い社会保障”を実現するためには、保険料の引き上げと公費投入の割合を現在の50%から引き上げる案を検討すべき」(関西学院大学大学院小西教授)
 「引き続き処遇改善を推進していく上で介護報酬の引き上げは必要。しかし保険料は据え置きが望ましい。そのためには公費負担を60%にすべきだが、現政策が子供手当てに注力している限りそれも望めない」(UIゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン河原会長)
 「保険料負担の急激な増加を避けるためには50%を超える恒常的な公費負担の導入が必要」(全国老人クラブ連合会理事・齋藤事務局長)

 など、それこそ「介護保険制度の持続性確保」には「公費負担増」が必要との意見が多数を占めたかのような報道もなされている。

 しかし、これに対し、「国費増を伴う介護保険法等の改正法案は、来年の通常国会に提出できない恐れがある。なぜなら、国費増によって給付の充実を行うなら、財源を確保できない限り、来年度の通常国会で改正法案を通して、2012年度の実施にむけて準備するという段取りができない」「給付の充実を図るには、現行どおり公費負担割合は50%を維持することが重要」(慶應義塾大学経済学部土居教授)など、真っ向から否定する発言もある。

 厚労省としては、公費50%(国25%、都道府県・市町村各12.5%)・保険料50%(1号保険料20%、2号保険料30%)という費用負担割合は、そのままで、「保険料負担増か給付抑制か」の二者択一論の議論にもっていきたいところであるが、介護保険と国民の現状はこれを単純には許さない。 

 公的介護保険にふさわしい、公費負担増を求める国民的な世論が急務である。

 社会保障審議会第31回介護保険部会資料
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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