2010/11/11 Thu
11月10日午後は、全日本民医連の「介護・福祉責任者会議」(墨田産業会館)に招かれた。

会場は全国から集まった200人近くの方々でいっぱい。さらに、私の前の「記念講演」は、前参議院議員の小池晃さんである。小池さんの講演が1時間で、その次の私の講演は1時間半もとっていただいている。

私のような者が… と とても緊張し恐縮する。

テーマは「地域包括ケア」である。

自由に喋ってかまいません、との事務局のお話だったので、厚労省の「地域包括ケア」=実現可能性のないニセモノだ、との立場でお話させていただいた。

以下 私のパワーポイントのレジメ


全日本民医連「2010年度介護・福祉責任者会議」 2010.11.10 墨田産業会館
「地域包括ケアシステム」と運動の課題大阪社保協介護保険対策委員 日下部雅喜
1 厚労省の「地域包括ケアシステム」をどう見るか
(1)本質は介護保険の再改悪による公的責任放棄・公費縮小
 ①大半の関係者が「実現可能性」を感じない構想 (ユートピアの2025年日本)
  「24時間365日 中学校区内で多様なサービスが受けられる」「独居の重度者でも地域での生活が十分に可能」「特養の待機者は生じない」 
   6年前を思い起こそう 「予防重視型システムへの転換」
「明るく活力ある超高齢社会」「健康な65歳から活動的な85歳へ」
予防重視型は効果をあげたのか 
 ②選択と集中
「需要爆発と資源制約(人材とコスト)の中で、選択と集中を行って制度を持続可能なものにすることが必要である」
「選択と集中」(予防では追いつかない) 
 ③自助 互助 共助 公助 論の本質
  「これは「哲学」の問題」「精神として、高齢社会を支えるにあたり高齢者一人ひとりがまず自分のことは自分でできるかぎり責任をもつ。できる能力を使うとの視点もあるし、身体能力とはまた別に、例えば住むこと、食べること、これを介護保険が給付するわけはないですから、自助が先になります。それが最初です。」(田中滋教授 研究会座長)
→ 究極の「自己責任」論
※介護保険の新たな改悪段階へ 「選択と集中」は「排除と切り捨て」
 ・施設(重度者)と軽度者(生活支援)
  5年前の改悪  軽度者 予防重視   重度者 食費部屋代自己負担・施設整備抑制
  今回 軽度者 給付から排除 重度者 施設から排除 
※北欧型システムとの決定的なちがい
  保険制度でない 民間参入でない 膨大な施設待機者(施設不足)を前提としない
  住宅は公営、24時間巡回サービスは公務員
(2)超高齢社会に立ち向かう運動にとって活用すべき側面
  「あるべき姿をトータルに描き、そこに至る過程の課題を考察」(田中教授)
 ①日常生活圏域で安心・安全・健康にかかわる 「住まい」「予防」「生活支援」「介護」「医療」のすべてがそろった地域
  →公的責任で「地域包括ケア」の資源、システム、人材、そしてネットワークを作らせる
 ②日常生活圏域部会での事業計画策定など「住民」主体
→地域住民の活動体として、民主勢力や民主的事業所が公的に参加

2 改めて厚労省「地域包括ケアシステム」構想の危険性を考える
    介護保険の改悪メニューにも関連して
※ニセモノは実際の施策展開ではきわめて悪い役割を果たす
(1)行き場のない重度者 家族の介護負担 孤立する高齢者の現実をあえて無視 
→必要な施策をしない積極的口実になる
 ①特養待機者は「見せかけ」 施設整備の先送り・サボタージュ
 ②家族の介護負担・虐待  現状分析すらない
 ③孤立死 ことばすら皆無  本気で地域社会を創造する気も知恵もない
(2)安易な「施設解体」論 「尊厳」「個別性」もない地域ケア
①施設の地域化 → 住まい 食事 介護 医療 見守り → 施設なき特養としての地域(池田教授)
 ②24時間地域巡回型訪問サービス (「まったく新しいサービス類型」)
 在宅限界点を高め要介護3以上を想定
  ・排除されるタイプがいる (あらゆるタイプに効果的なケアを提供できるわけではない)
 「寝たきり・おむつ」が最適か
  ・入浴は自宅で不可か 
  ・「継続的アセスメント・マネジメント」、ケアマネとは「共同マネジメント」
(3)地域を「囲い込み屋」に丸投げの危険性 
  ・保険者裁量強化による事業者指定(「地域主権改革」と一体で推進)
   サービス拠点、日常生活圏域内での一体的サービス 24時間型は「エリア担当方式」か
  ・「介護成長産業」論による零細乱立脱出志向
  ・現状の高齢者専用賃貸住宅、「高齢者向け住宅」「ケア付きハウス」などの実態
   規制でなく逆に「奨励」
  ・「住み慣れた地域」の欺瞞
(4)地域包括支援センターについてまともな改革案なし
   法的にも財源的にも介護保険 
   民間丸投げ容認 予防プランセンター

3 本物の「地域包括ケア」のために
(1)現実の介護の当事者、介護現場の実態を改善する取組みが前提
 ・重度者を介護する家族の介護負担、行き場のない要介護者 の解決策
 ・地域で孤立する高齢者 見守りのネットワーク構築
 ・虐待やいわゆる支援困難者(社会問題ケース)支援 公的責任を中核とした支援の仕組みづくり
 ・生活支援 いつでもどこでも必要なサービスが利用できる
(2)「地域包括ケアシステム」の構築責任は国と自治体である
 ①包括ケアの実現された地域社会を作るのは自治体の責務 
  当事者、住民、関係者 は 意見を述べ、参画する 行政が動かなければ社会的な運動で動かす 事業に住民・事業者として参加する
※自助・互助システムでない
 ②沢内村の「生命行政」 地域包括医療に学ぶ 
   3つの目標 ①すこやかに生まれ ②すこやかに育つ ③すこやかに老いる
   この目標を実現するため 「誰でも」(どんな貧乏人でも)、どこでも(どんな僻地でも)、いつでも(24時間365日、生涯にわたって)、学術の進歩に即応する最新・最高の包括医療サービスと、文化的な健康生活の保障を享受することが必要である …そのために、沢内病院と沢内村自治体の体質改革、村民の自己健康管理能力の向上という改革目標が設定された。この上に立って、考えられるあらゆる関連部門の具体的計画が立案されたのであった」(村長ありき-沢内村 深沢晟雄の生涯)
(3)第5期に向けた地域の取組み
 ①日常生活圏域ニーズ調査
  調査内容に意見を、できれは企画に参加する
調査は必ず全圏域で悉皆調査をさせる
調査結果の活用
 ②日常生活圏域部会
  必ず全圏域で民主的構成めざし利用者家族の声が反映するように
  ニーズ調査結果は当然として現状の地域課題
 ③事業者指定、サービス拠点
  サービス拠点整備への公的責任 特定の団体・事業者に丸投げさせない
 ④地域包括ケアの中核 地域包括支援センター
おわりに
 2025年に向かう「地域」をこのように歪めた責任は国にある
  過疎と「限界集落」 
  都市部への高度成長時の労働力集中 地縁血縁社会の崩壊 人工都市(ニュータウン)
  超高齢社会 に対応できる 地方自治体 へ 
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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