2010/11/13 Sat
「高齢者専用住宅 オーナー様 募集」。

こんな案内が目立つようになった。

 ある 案内によれば


新・介護施設“高専賃”
● 駅から遠いのでアパートには不向き。幹線道路沿いではないので店舗向けにもならない。かと言って、法令上から工場や倉庫もできない。・・・こんな土地をお持ちの地主さんに“高専賃”がお薦めします。
● “高専賃”とは、「適合・高齢者専用賃貸住宅」の略称です。国や市町村の補助が嵩む「特別養護老人ホーム」(特養)や「有料老人ホーム」(特定介護施設=“特介”)に替わる介護対策のメダマとして注目されています。
● “特養”は安いので人気ですが、補助金に限りがあるため施設が不足し、全国では何百万人と待たされますし、“特介”は、入居一時金が何百万~何千万円と多額のためお金持ちしか入れませんし、市町村から「介護保険」による補助が要るため認可が進みません。
● 厚生労働省が、高齢化が急速に進むなかで後手に廻る介護対策の目玉としているのが“高専賃”なのです。その仕組みは、高齢者が介護を受けながら快適に暮らせるように、国が認可し監視する「高齢者向けアパート」です。係る方々のメリットを含めた概要は次のようになります。
  「入居者」:  ・一般のアパートを借りるコスト(2~3ヶ月の敷金等)で、すぐに入居できる。
          ・健常者も要介護の人も一緒に入居できる。
          ・1日3食、365日の「給食サービス」(別契約)が受けられる。
          ・24時間、「見守りサービス」付き、必要時に訪問介護(10%負担)が受けられる。
          ・入院しても、退院したらもとの部屋に戻れる。
  「事業者」:  ・50人~100人まとめて訪問介護できるため、介護効率は良い。
          ・一括借上げ家賃と入居者からもらう家賃(転貸)との差額が充分入る。
          ・オプションを含めたサービス業務などで収益が上がる。
  「地  主」:  ・事業者が25~30年間、一棟丸ごと借上げ家賃保証してくれるので安心。
          ・建築資金借入金金利、減価償却費、税金(優遇)を差引しても手残りは充分。
          ・相続対策としても、住宅優遇税制が適用できるためほぼゼロにでき効果的。
          ・建設資金の融資先は大手事業者の斡旋あり。
          例:東京、神奈川、埼玉、千葉(外房除く)は一室@48,000円。(その他40,000円)
              50室×\48,000×12ヶ月=年間収入28,000,000円  
          例: 50室1棟 木造3階建プラン 本体税込建築費 2億5000万円前後


 あまり資産価値のない土地の活用からはじまり、地主、事業者にさまざまなメリットを説いている。「効率性」「高収益」を強調する うまみのある活用。

 高齢者介護という 人生の最後の場面を見守り、尊厳を保持するための 営みだが、そんな理念や使命感はまったく必要とされない。単なる 金儲け だけの 「ご案内」である。

 介護業界自体が、玉石混淆 だが、いちおう、介護保険の公的規制のもとにおかれ、法令遵守 が求められ、違反事業者・不正事業者には「指定取り消し」という 退場処分があるが、この 「高専賃」ビジネスには それもない。 玉石混淆 どころか、どんなに悪い石が参入しても 規制がかからない。


寝たきり専用賃貸住宅の一端を紹介した投稿もある掲示板にあった。

「あくまで『個人がアパートを借りている』という前提
経口から食事摂取できる人は入居ができず、胃ろう・IVH・経鼻のかたが条件とのこと
入居するにあたっては
①主治医は高専賃を経営する医師に変更すること
②介護支援専門員も変更
③訪問介護・訪問看護も当然自分の好きなところは選択できません
行き先のない患者をエサにやりたい放題で、しかもケアマネにはプランの逆提示でサービスを調整させ介護保険料の限度額いっぱいまでサービスを放り込み、それでも足りなければ医師が医療の特別指示書を恒常的に発行(急性憎悪・終末期と書いてしまえば問題ない)し訪問看護をガンガン投入。
医療保険・介護保険を巧みに使い個人負担分もあわせ毎月患者1人から莫大な料金を得ているそうです。」


 囲い込みのための「住まい」提供の典型例で、しかも、最重度で 行き場がなく、医療と介護の依存度の高い人をターゲットにしている。

以下引用 中日新聞4月9日


 広がる賃貸「無届け」施設
 最重度の寝たきりの老人を対象にした〝賃貸住宅ビジネス″が広がっている。本来、選択の自由が保証されているはずの介護保険サービスが、指定事業者のものしか使えない所も。「有料老人ホームではなく住宅」だとして行政には無届けで済む。
 「住宅」の扱いだと、介護サービスについて監督する部署がなく、実態の把握も難しいのが現状だ。(佐橋大)
 実態は寝たきり老人ホーム
 愛知県内に住む会社員は親の介護の相談で同県内の「寝たきり高齢者の専門賃貸住宅」を訪ねた。知り合いの介護事業者のサービスを使えるかどうかを尋ねたところ「当社のサービスを使っていただくのが入居条件」と説明を受けた。「介護保険サービスは本人や家族が決められるはずなのに…」。この会社員は不信感を抱いた。行政に届け出ている老人ホームでは、そんな条件を付けることば許されない。老人施設の現状に詳しい社会福祉士は「介護保険法に反する契約が無届け施設で広がっている」と指摘する。
 この社会福祉士が調べた別の〝寝たきり専用アパート″では、賃貸借契約書に「貸主が指定する会社の介護保険のサービスを受ける」ことを規定。入居者は経管栄養の人ばかりで食事の世話の必要がないため、四畳ほどの部屋にばベッドが置かれているだけだった。施設が指定した事業所の訪問看護、訪問介護、訪問診療のスタッフが、そんな部屋を順番に回っていた。
 寝たきりの高齢者がばらばらに自宅に居るのと違い、一カ所に集まっているため「事業所はサービス提供に手間がかからない。ケアプランで必要以上のサービスを設定することも容易だし、ほかの事業所のサービスを受けたいと家族が不満を持っても、入居の契約で事業所を変えることができない」。
 この社会福祉士は施設側が丸抱えの契約で金もうけする実態を説明する。介護ベッドのレンタル料も相場より割高だ。 
 無届け施設だと、有料老人ホームのように居室の広さ、防火設備、職員配置などの規定に縛られない。人件費や建設費が抑えやすい。浮いた経費で入居料を安くし、その安さを売りに入居率を上げられる。
「介護」選べぬ契約 行政の監督は困難 こうした「無届け施設」は行政が監視できないのかー。厚生労働省は「実質的に有料老人ホームと判断すれば都道府県が契約の是正を求められる」とするが判断は難しいケースが多い。
 愛知県高齢福祉課が冒頭の会社員の訪ねた施設に事情を聴いたところ、施設側は「経管栄養の人だから食事を提供していない。介護保険のサービス提供はすべて外部の事業者。うちは単なる賃貸住宅」と説明。県は施設内を調べる権限もないため、有料老人ホームと判断する証拠を得られなかった。別の担当者も「『賃貸住宅』と言われると住宅部門の管轄となる。老人福祉法に基づく改善は求められない」と頭を抱える。
「介護施設と地域を結ぶ市民の会(愛知県東郷町)」の山下律子代表は「実態は寝たきり老人ホームだ。在宅の介護保険サービスが十分ではないうえ、国が療養病床を削減したことなどで、行き場のない人たちが増え、無届ホームが受け皿になっている。
 サービスに税金が使われている以上、チェック体制を早急に整えるべきだ」と指摘。
「無届施設に親を入れざるを得ない介護の現状を改めないと根本的な解決にならない」と訴える。



これに対し、高専賃に参入した人は

「コンサルタントの説明が抱え込みをしなさいでした。他の外部サービスを少し使えば大丈夫だと。始めてみておかしいと。おかげで勉強始められましたが・・住宅課に介護の部分を聞いてみても『何でもやっていいですよ、逆に何もやらなくても良いですよ。介護保険使わないので法も何も有りません』と言われました」
と、コンサルタントの脱法的な誘導と、住宅行政の無指導の現実を指摘している。
 
 「地域包括ケア」構想では、「住まい」は自己責任の分野であるが、ここに付け入る ビジネスへの、真の意味での公的な規制と 利用者の権利利益保護の 仕組みが 急がれる。





スポンサーサイト
Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索