2011/01/08 Sat
 1月7日、中央社保協の厚生労働省レクチャーに参加した。介護保険見直しについて、現時点での厚労省の検討姿勢がよくわかった。
 以下、介護保険部分の私のまとめ記事。


 中央社保協は、1月7日午後、参議院会館において、介護保険制度改定問題について、厚生労働省から説明を受けました。
 厚生労働省からは、老健局振興課の草野課長補佐、介護保険課の市川係長が出席し、事前に提出していた質問事項について回答を行い、質疑応答を行いました。
 介護保険見直しについては、昨年11月末に、社保審介護保険部会において「介護保険見直しに関する意見」がまとめられ、その後、与党民主党における提言を踏まえ、12月24日に、「改正法案のポイント」を公表し、細川厚生労働大臣が大臣会見で大要を明らかにしました。
 この日の説明では、厚生労働省側は、「部会での議論踏まえて検討中であり、具体的な点はまだであり、法律なので内閣法制局と詰めが必要。」としつつ下表のとおり説明しました。

補足給付改悪 どうなるかわからない 
 利用者負担については、法改正では「見送り」とされましたが、省令・告示で決まる①相部屋の施設利用者からの室料徴収 ②低所得の施設利用者の食費・居住費軽減措置の改悪 について、厚労省は「行われるか行われないかは分からない」と回答。今後、実施させないたたかいが必要です。

地域包括ケア 自治体任せの姿勢がありあり
 今回の見直しの「目玉」の地域包括ケアについては、具体的な法制化内容がまったく明らかにされないばかりか、日常生活圏域ニーズ調査についても「義務でなく、趣旨に賛同するところはやっていただくということ」と単なる市町村への「お任せ」的な姿勢が浮き彫りになりました。

要支援者の生活援助「削減でない」と言い訳に終始 
 保険者の判断で、要支援者の保険給付(生活援助)を配食・見守りなどの「生活支援サービス」と一体化させることについて、厚労省は、「サービスを縮小するという趣旨ではない」「財政を削減するという項目とは位置付けていない」など、必死の「言い訳」に終始しました。軽度者の生活援助切り捨てに結び付くような法制化を許さないとともに、地方レベルでの取り組みの必要性が明らかになりました。
どこまでやるか 「埋蔵金」取り崩し 
今回初めて打ち出された「財政安定化基金」取り崩しによる介護保険料軽減について、そのための「法整備」は明言しながら、試算でしめした額は、ため込み額の6割に満たない取り崩し額であり、また、実際どの程度取崩しになるのか、都道府県との関係も含めたまったく先行き不透明な状態であることも明らかになりました。


大阪社保協が事前に出していた質問に対する厚生労働省の回答の要旨


質問 法案提出の目処、改正法の施行期日などについて。準備期間をどの程度見込んでいるか

回答 法案提出の目途については、今のところよくわからないが、通常国会に出す予定である。
 施行期日は、第5期と同時期とする。準備期間については、法成立後からの準備となるが、法案の審議時期がまったくわからないので回答できない。ただ、システム改修等が間に合わないのでは困るので通常国会で成立させることが必要。介護保険法等改正案は、負担増が見送りなので、予算とは非関連法案の扱いとなる


質問 介護報酬等の見直しについて、社会保障審議会介護給付費分科会の検討時期など前倒しし本年4月から検討を開始する報道(昨年12月29日時事通信等)がなされているが、2012年度改定実施に向けた現時点でのスケジュールはどのように見込んでいるのか

回答 全く未定である。平成21年度改正の時は、社会保障審議会介護給付費分科会では、9月頃から実質の審議を開始した。その前はヒアリング等を行っている。あの時は麻生政権で先に3%プラスが先に決まったので、年内に審議を終えた。今回は分からない

質問 法制化でなく省令・告示等で決められる 
・多床室の施設利用者からの屋料徴収
・低所得の施設利用者の補足給付要件の見直し
については、厚生労働大臣が記者会見で述べたように「今回は利用者負担については上げないということでやるということです」(昨年12月24日)という立場が本当であるならば、当然行われないものと解するが、どうか

回答 今後、社会保障審議会介護給付費分科会の議論の対象になる事項である。現時点で、行われるか行われないかはわからない

質問 ユニット型個室の施設利用者の負担軽減及びグループホーム等利用者の居住費の軽減策について、社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度見直しに関する意見」をふまえて、今後どのように検討されるのか

回答 「見直し意見」をふまえて、引き続き社会保障審議会介護給付費分科会の議論いただきながら検討する。グループホーム等の軽減を補足給付でやろうとすると法改正が必要。その他の方法で行うこともありうる

質問 「介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)のポイント」では、「医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した要介護者等への包括的な支援(地域包括ケア)の推進」 とあるが、現時点で検討されている具体的な法改正内容はどのようなものか

回答 社会保障審議会介護保険部会の「見直し意見」で示された「医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した要介護者等への包括的な支援(地域包括ケア)の推進」の内容にそって、その方向性で具体的に検討していく

質問 同じく「地域包括ケア実現のために、日常生活圏域ごとに地域ニーズを的確に把握した事業計画を策定」とあるが、具体的にどのような法改正内容となるのか。なお、第5期に向けた日常生活圏域ニーズ調査について、全圏域を悉皆調査するかどうかは「保険者判断」とされているが、ニーズ把握はどのようなルールを検討されているのか

回答 昨年、ニーズ調査の方法等について保険者に示した。ただしこれは一律に義務でなく、趣旨に賛同するところはやっていただくということ。法制化については、これまでは「お願い」できたので、努力義務的なことになる。予算は、計画策定については交付税措置されているので、ニーズ調査してもそれを超えることにならない。
 調査方法は国が示す方法で一律に行うものではない。ニーズ調査のプロセスは違いがあることは当然であると考えている。


質問 同じく「 単身・重度の要介護者等に対応できるよう、24時間対応の定期巡回・随時対応型サービスや複合型サービスを創設」とあるが、サービス類型としては、地域密着型サービスか

回答 どのサービスに位置付けるかどうかは、今後検討する。「検討会」での議論は「30分以内で提供できる」とあるので地域密着型サービスが想定されるかもしれない

質問 同じく「地域密着型サービスの提供事業者の適正な公募を通じた選考」とあるが、具体的にどのような法改正内容となるのか。また、他のサービスについて、保険者裁量強化はないのか

回答 現時点では、具体的な答えはできない。介護保険部会の「見直し意見」の指摘を踏まえながら今後検討していく

質問 「介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)のポイント」では、「保険者判断による予防給付と生活支援サービスの総合化」とあるが、地域支援事業と予防給付を一体化させる法改正なのか。また、その範囲と具体的な手続きについてはどのように構想しているのか。財源的に予防給付費と地域支援事業費をどのように整合させるのか

回答 予防サービスと配食・見守り等 を一体的にサービス実施し、非該当者であってもうけられるようにするためのものである。そういう趣旨にそって、どういう制度にするかは検討中。サービスを縮小するという趣旨ではない。介護保険部会では給付と負担のありかたの議論があったが、財政を削減するという項目とは位置付けていない。保険者判断ということで、サービスを総合化することによって充実させるという趣旨。個々の利用者の状態像と意向を踏まえて保険者が判断する。総合サービスを導入したところが一律に予防給付を減らすということではない。 地域支援事業は給付費の3%上限を外すのかについては、現時点では具体的には応えられないが、一律に減らすことは考えていない。総合サービスが「できても引き続き予防給付で」という自治体も出てくるだろう。実際総合化に手を挙げられる市町村はそんなにないのではないかと考えている。厚生労働省としては、この項目は、「財政ニュートラル」であり、増えるとか減るとか問題でない

質問 「介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)のポイント」では、「介護福祉士等の介護職員による日常の『医療的ケア』の実施」とあるが、法改正の具体的内容及び「医療的ケア」の範囲及び実施の要件はどのようなものか

回答  現在検討中である。「検討会」の「中間まとめ」の考え方を踏まえる。一定の研修を受けた介護福祉士等が痰の吸引等の医療的ケアを行えるように法整備を行う。一般的には社会福祉士及び介護福祉士法の改正。法律上の整理は、内閣法制局と協議していきたい

質問 同じく「 労働法規の遵守の徹底、雇用管理の取組の公表」とあるが、法改正の具体的内容はどのようなものか

回答 介護保険部会の「見直し意見」の提言(労働法規違反で罰金刑を受けている事業者等の指定拒否・指定取り消し、サービス情報公表に雇用等のデータ追加)を踏まえながら検討する

質問 「介護職員処遇改善交付金」を2012年度以降どのように扱うのか。まだ未定であれば、その基本的な方向性及び検討の日程はどのような見込みか

回答  平成24年度以降も処遇改善の必要性はあると認識している。しかし、報酬で行くのか、交付金でいくのかは決まっていない。今後検討する。報酬で行った場合の保険料への影響は、100円(11月の財政試算どおり)程度と見込んでいる。

質問 「介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)のポイント」では、「各都道府県に積み上げられた財政安定化基金を取り崩して保険料の軽減に充てる法整備を行うことなどにより介護保険料を軽減」とあるが、財政安定化基金の取り崩しの見込み額及び介護保険料に与える具体的な金額の試算を示されたい。なお、国・都道府県拠出分は取り崩し後どのように活用する見込みなのか。合わせて、全国各都道府県ごとの直近の財政安定化基金の残高及び運用実績について示されたい。

回答 介護保険部会の資料でも示したが 取り崩すことが可能な額をすべて第1号保険料に充てた場合は150円位の軽減になる見込み。財政安定化基金積立額約2700億円のうち、国・都道府県・市町村拠出金1600億円を取り崩すことして試算したものである。 取崩しの方法についても今後検討することになる。都道府県に取崩しを命令するのか、お願いするのかは、 法改正の中身による

質問 保険者(市町村)の介護給付費準備基金の積み立ての直近の状況を示されたい。とくに、第3期末の残高を取り崩さず、第4期に繰り越した額についてお示しいただきたい。第5期においては、どの程度の積立額で、取り崩しの介護保険料に与える影響額はどの程度と見込まれているのか

回答 介護保険部会においては、介護保給付費準備基金の取崩しによる保険料軽減は130円位と試算した。これは、見込額であり、平成21年度時点での基金残高は把握していない。第3期末(繰り入れ前)と第4期開始時点での基金積立額を示すことについては、検討したい



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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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