2011/01/10 Mon
 連休を利用して、さまざまな本を読みあさる。

 昨年末出された「無縁社会」を読んだ。

 NHK「無縁社会プロジェクト」取材班によるもので、1年前に放送された NHKスペシャル「無縁社会 ~“無縁死” 3万2千人の衝撃~」の単行本化 である。
 
 取材での見聞も含めて、映像では分からなかった「無縁社会」状況が個々の実例を通して浮き彫りになる。なかなかの秀作だと思う。

番組を見た時、私自身のささやかな経験を「無縁死 『行旅死亡人』取り扱いの経験」に書かさせていただき、多くの方々から反響があった。
 
 この「無縁社会」ということば、

 NHKデスクの中嶋太一氏によれば、居酒屋での記者やディレクターの会話から生まれたという

働いても報われない社会の現実が浮き彫りになったワーキングプアの問題。
それが遂に人々の命の問題にまで行きついているのだと全員が改めて強く感じていた。
さらに酒が進み、チーフディレクターがこう呟いた。
「“つながりのない社会”“縁のない社会”。言うなれば『無縁社会』だよね……」

「無縁社会」という造語はそんな会話から生まれた。

 その「無縁社会」という ことば、放映後1年たった今、完全に どこでも通用する一般語となってしまった。

 そして、今度は 朝日新聞が、昨年末から「孤族の国」という特集を連載した。この特集の取材班によるツイッターもある

 家族というとき、思い浮かべるのは、どんな姿だろう。父親、母親に子ども2人の「標準世帯」か、それとも夫婦だけの世帯だろうか。今、それに迫るほど急増しているのが、たった1人の世帯だ。「普通の家族」という表現が、成り立たない時代を私たちは生きている。
単身世帯の急増と同時に、日本は超高齢化と多死の時代を迎える。それに格差、貧困が加わり、人々の「生」のあり方は、かつてないほど揺れ動いている。たとえ、家族がいたとしても、孤立は忍び寄る。
・・・・・ 個を求め、孤に向き合う。そんな私たちのことを「孤族」と呼びたい。家族から、「孤族」へ、新しい生き方と社会の仕組みを求めてさまよう、この国。


 「単身化」は今後あらゆる世代ですすみ、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、20年後の2030年は単身世帯は世帯全体の40%を超えると推計されている。
 単身化がすすむ新たな要因である、「生涯未婚率」(50歳の時点で一度も結婚したことがない人の割合)は、2030年では、3割近い数字と推計されている。

 単なる「高齢化」でなく、社会全体が大きく変容するこの時代。
 
 私として最低限言いたいことは二つである。

 第一に 単身化の新たな要因である、経済的に不安定な非正規労働の広がりのついては、まともに働いても「世帯形成」や「次代育成」に必要な所得が得られないという 異常事態であり、早急に解決しない限り、日本社会の未来は暗澹たるものになる ということである。不安定雇用の広がりによるワーキングプアは何としても解決しなければならない。

 第二は、高齢単身世帯の増加と、無縁社会化は、政府厚生労働省の描いているような「地域まかせ」の「地域包括ケア」では、絶対に対応できない。「自助」は、普通に働けば老後の生活が保障できる所得・資産が得られる経済状況が前提である。「互助」は、多世代の家族があり、地域に地縁血縁に支えられた共同体があって初めて可能になる。この二つを「孤族化」「無縁社会化」によって掘り崩しながら、一方で「自助・互助・共助…」などを国民に押しつけるのは空虚で無責任な絵空事である。
 
 10年後、20年後を見据えた 社会保障の再構築が求められている。
 
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Category: 社会保障問題
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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