2011/01/14 Fri
2012年度介護保険見直しで、一つの焦点となった「お泊りデイ」。

私は、この問題について お話するときは
「延長保育、お泊り保育があるように 延長デイ、お泊りデイは 本来は 制度化を検討する余地はある。しかし、施設・居住系サービスとショートステイが圧倒的不足している中で、これを安易にやれば 『お泊り』でなく『住み込みデイ』になってしまう危険性がある」

と指摘してきた。

 社会保障審議会介護保険部会で 議論されている最中に、厚生労働省は 当時の長妻大臣の直接のお声がかりで、2011年度政府予算案の概算要求では、デイサービスセンターを活用した延長・宿泊サービス(お泊まりデイサービス)の基盤整備費として100億円を盛り込んだ。

 しかし、介護医療関係者からの「きちんとした施設や人員の基準が必要だ」「短期で預かるショートステイ施設との役割分担が不明確」「なし崩し的な利用時間延長は介護の質を低下させる」という反対意見が相次いだ。

 その結果、概算要求100億円は結局認められず、厚労省は、デイサービスに対する緊急・短期の宿泊ニーズを調査する費用10億円に切り替え、予算案の成り行きを見守っている。

 昨年12月24日に厚労省が公表した「介護保険法等の一部を改正する法律案(仮称)のポイント」でも お泊りデイは 一言も触れられていない。

 お泊りデイは2012年度改定で 保険給付化が見送りになるのでは、という関係者の声もある。


 しかし、問題は、制度外で、勝手にやっている「お泊りデイ」の横行である。

 千葉県で、鍵をかけて 宿泊させ、最長で「1年連泊させていた」というお泊りデイの経営者は
「『お泊まりデイ』について『介護行政がしっかりすればなくなるし、なくすべきかもしれない』と語った。その一方で『(預け先のない認知症などの高齢者を抱え)家庭が破滅する事例を多く見てきた』とし、『誤りだと言われても、現に社会的なニーズがある』と強調した。」
と報じられている。(老いの未来図:介護・医療の現場で お泊まりデイ ドア施錠施設に連泊1年 /千葉

 また、昨年12月には、「男女雑魚寝」「2年連泊」などの実態もあるとの東京での「お泊まりデイ」の日本共産党都議団による実態調査が明らかにされた。

同議員団の調査は、都内1952の通所介護事業所に対し、11月19日から12月1日まで実施。547事業所が回答し、このうち37事業所が宿泊付デイサービスを実施していた。連泊期間は、30日あるいは1か月とする事業所が7事業所で最も多く、次いで3か月と5か月がそれぞれ3事業所、1日、4日、中には2年とする事業所もそれぞれ2事業所あった。これについて大山都議は、「宿泊というより、もう住んでいるという事例もあった」と指摘。連泊制限をしている事業所は、12事業所だった。 大山都議は申し入れ前、記者団に対し、「理念を持って取り組む事業所もあるが、一部屋に布団がすき間なく敷き詰められ、男女混同の雑魚寝でプライバシーも確保されず、利用者が相当のストレス状態にある事業所もあった」と述べた。

お泊りデイ問題は、単に、制度化・保険給付化 しなければいい という問題にとどまらない。要介護高齢者の「住まい」「居場所」をどう確保するのか、そして「尊厳の保持」と「利用者本位」を公的介護保険でどう実現するのか という問題である。

 まさに、「介護行政がしっかりすれば 本来は不要」なのである。

  
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Category: 介護保険見直し
 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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