2011/01/16 Sun
 
 ケアマネジャーの中に、一種の「安堵感」が広がっている。
 介護保険見直しについて、厚生労働大臣が「負担増はしない」と言明し、厚労省の「改正法案のポイント」でもケアプランの利用者負担の導入は見送られたためであろう。

 しかし、今回の見直しで本当は、実現されるべき「ケアマネジャーの裁量の強化」「専門性と地位の向上」「公平・中立性の確保」などの課題は、まったく手つかずに等しい。

 社保審介護保険部会の「見直し意見」では

2 サービスの質の確保・向上
(1)ケアマネジメントについて
(ケアプラン、ケアマネジャーの質の向上)
○ 地域包拢ケアの実現を図るためには、介護保険のサービスやそれ以外のサービスとのコーディネートや関係職種との調整が欠かせない。特に、重度者については、医療サービスを適切に組み込むことが重要となっている。さらに、利用者の意向を踏まえつつ、そのニーズを的確に反映した、より自立促進型、機能向上型のケアプランの推進が求められている。


 と極めて偏った 言い回しで始まっており、「重度者」「医療サービス」の組み込みを一面的に強調し、「より自立支援型、機能向上型のケアプラン推進」をうたっている。利用者負担導入は、この延長線上に出てきたものである。

 さらに、極めて安易に

○ なお、複雑なサービスをコーディネートする必要がない場合などは、要介護者及び要支援者が各種の介護サービスを自ら選択・調整する居宅サービス計画(セルフケアプラン)の活用支援なども検討することが必要である。

 「自己作成ケアプラン」を奨励したことも無視できない。給付削減と軽度者のケアマネジメント否定につながる発想である。

私は、利用者の主体性尊重の立場から、利用者の責任と判断で 自分の生き方と介護サービス利用を決める「自己作成ケアプラン」は 積極的に推進する立場である。しかし、この見直し意見は、安易なケアマネジメント不要論に道を開く危険なものである。

 ケアマネジメントについては介護保険見直しにあたって、少なくとも以下のことが必要であろう。

 ケアマネジャーの公正・中立性と裁量が担保できる報酬抜本改善と地位向上
 居宅介護の要であるケアマネジャー(介護支援専門員)がその裁量と専門性が発揮できるためには、報酬の抜本的改善と地位向上が不可欠である。
 ○現行要支援のケアプランを地域包括支援センター(介護予防支援事業所)が作成する仕組みをやめて、軽度も含めてケアマネジャーに支援を一本化する
○居宅介護支援の報酬は、独立事業所で十分に生活と経営が可能な水準を保障する報酬に抜本的に引き上げる
 ○ケアマネジャーの過度な事務負担を解消するとともに、不当に規制する仕組み(自治体の給付費調査、ケアプラン点検など)を改め、研修制度を改善する
 ○すべての居宅サービスについては原則ケアマネジャーの専門的判断と裁量を尊重する仕組みとルールをつくる
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Category: 介護保険見直し

どりーむ >>URL

この時だからこそ

いつも、示唆に富む記事をありがとうございます。

今回の記事の件について、私も同様に思っています。
ケアプラン有料化は、とりあえず見送りになっただけで、
見送りになったから良し、ではなく、
見送りになったからこそ、
行うべき事が、多々あるのだと思います。

気を引き締めます!

Edit | 2011/01/17(Mon) 08:37:15

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき) >>URL

Re: この時だからこそ

同感です!

「先送り」であって 「撤回」ではありません。

ケアマネジメントの復権・確立は これからが正念場だと思います。

Edit | 2011/01/18(Tue) 00:21:29

 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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