2011/01/18 Tue
 統合失調症に加え、3年前からアルツハイマー型認知症を発症し、グループホームで生活されていた。
 夜間の不穏が著明になり、徘徊、暴言、粗暴行為が激しくなったため、精神科に入院。
 薬物療法により改善傾向となったため、再びグループホームに戻ったが、またも夜間に徘徊、暴言、粗暴行為、他の入居者の部屋に入ったりなどの行為があり、グループホームでは対応困難になり再び入院。
 入院し症状が落ち着いた時点での要介護認定調査。

要介護認定の基本調査で
 起き上がり - つかまれば可
 立ち上がり - つかまれば可
 洗身    - 一部介助
 爪切り   - 全介助
 聴力    - やっと聞こえる
 外出頻度  - 月1回未満
 毎日の日課を理解 - できない
 短期記憶     - できない
 同じ話をする   - ある
 ひどい物忘れ   - ある
 薬の内服     - 一部介助
 金銭の管理    - 全介助
 日常の意思決定  - 特別な場合以外可
 買物       - 全介助
 簡単な調理    - 全介助

 障害高齢者自立度 :A1 
 認知症高齢者自立度:Ⅲa

 これで 一次判定 ソフト では 「非該当」(要介護認定等基準時間24.4分) となってしまう。

 一度 この一次判定シミュレータで試してみてください 
 または この 樹形図「樹介」 で 試してみてください。

 主治医も 認知症高齢者自立度をⅢb(日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする)を選択している。

 この方は、誰が見ても 明らかに要介護状態であろう。

 改定後の一次判定ソフトの「軽度判定」傾向の問題点が指摘されているが、グループホームでも生活できないような認知症の方が、「非該当」(自立)となってしまうこの現実は、「問題点」などという生やさしいものではない。また、基本調査項目から認知症も問題行動に関連する項目が削減されたことも大きな影響を与えている。
 さらに、再改定されたとはいえ、認定調査における「『判断』でなく『選択』」という調査手法は、調査員の調査姿勢にも悪影響を与えている。

 「二次判定(介護認定審査会)がある。」と関係者は言うだろう。しかし、一次判定で「非該当」となった人を重度変更することをちゅうちょする場合もあろう。

 こうした現実を見るにつけ、「要介護認定廃止」の主張は 説得力がある。

 認知症の人と家族の会が、昨年12月に発刊した「提言 要介護認定廃止」をぜひ一読していただきたい。
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 「要介護認定を廃止する。まず認定から出発するのではなく、暮らしの中での介護の必要性から出発する制度にする。」
 「本来、制度の利用は利用者の介護の必要性から出発すべきであるにかかわらず、要介護認定という関所を通らなければいけないことによって制度の主人公としての意識を著しく傷つけられています。ケアマネジャーも認定の結果に縛られ自由な発想を奪われています。客観的な指標であるべき介護度も、2009年4月改定の結果、調査基準が恣意的に操作されていることが明らかになり、その権威を著しく失墜しました。」
「このように客観性を欠くだけでなく、不都合の多いシステムはなくしたほうがよいというのが結論です。その上、コンピュータシステムの維持管理や審査会のために、膨大な費用がかかります。その額は少なくとも2800億円ともいわれています。その費用を介護サービスの充実のために振り向けることもできます。」
 

 この提言は、介護保険見直しの中で、ぜひとも 真剣に検討されるべきであろう。
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Category: 介護保険見直し

tomoyan >>URL

廃止すべき!

たび重なる改悪で、認定調査の項目の内容も歪められている。あまりにもひどすぎる内容については訂正されたものの、細かい解釈などの問題は現在も残っています。

「徘徊」の項目は、「徘徊」するかしないかではなく、

「徘徊」の目的を本人が言えるか言えないかの判定基準になっている事を最近知りました。

認知症の方が、すでに辞めた会社などに、「仕事に行く」と行こうとしてうろうろと「徘徊」していても、それは「目的がある」ととらえられ、「徘徊ではない」と、役所も、厚労省も言うのです。
「徘徊」は、他人から見れば「目的なくうろうろする行動」であるが、認知症の為妥当な判断はできないが、本人にとっては目的がある行動なのです。

後は2次判定で判断するとのことであるが、日下部様がおっしゃるとおり、どの程度見てくれるのかわからない。
そもそも解釈がおかしいと思います。

今回のような非該当のケースについて、他の掲示板でも同様の事が昨年11月ごろに議論されておりました。その方は「非該当」と認定されたため、不服申し立てをされるとのことでした。

要介護認定適正化事業によるEラーニングなどもしているが、そもそも無料でやりたい人だけ行う学習ってなんだろうと思いますね。
認定がなければそのような費用も浮いてくる。

今回厚労省が意見募集していますが、区分変更の際の認定機関を延ばすと言うだけのものでした。

Edit | 2011/01/19(Wed) 15:52:22

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき) >>URL

Re: 廃止すべき!

 そうです。この「徘徊」の定義がくせものです。調査員テキスト には 「ここでいう『徘徊』とは、歩き回る、車いすで動き回る、床やベッドの上で這い回る等、目的もなく動き回る行動のことである。」とあり、「目的」について、歩き回ることで「到達できる」目的か、どうかを明らかにしていません。
 妄想によるものでも「目的」と解釈する調査員が多いです。
 
 この事例でも 調査員は、「本人は『娘のところに行く』と言って、歩き回っているので、『目的』があり、徘徊にあたらず」とした そうです。

 その人の「暮らしの必要性からでなく、役所の空論で作った物差しで 認定するからこのようなことになるとおもいます。
 認定制度は「廃止」しかありません。

Edit | 2011/01/19(Wed) 20:19:49

 
 
 
 
 
 
 
 

プロフィール

福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)

Author:福祉・介護オンブズマン管理者 日下部雅喜(くさかべまさき)
 福祉・介護オンブズネットおおさか事務局長
 介護保険料に怒る一揆の会事務局長
 大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員
 
 

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